【役員社宅】共有部分の面積の確認方法|専有面積が99㎡以下だけではダメ? 

こちらの記事のとおり役員社宅については、木造は132㎡以下、木造以外は99㎡以下場合、かなり低い金額で役員へ貸付することが出来ます。一方でこれらの面積を超えてしまうと、少なくとも家賃の50%を役員より徴収する必要が出てきます。

そのため、この面積の判定は重要なわけなのですが、単純に賃貸借契約書で確認すればいいのでは?と思われるかもしれません。が、実はそのような単純な話ではありません。

今回はその面積の考え方について、解説していきたいと思います。

一軒家の場合

一軒家のようにその建物全体を1世帯で借りる場合には、賃貸借契約書で面積を確認していただければ大丈夫です。一軒家であればほとんどが木造だと思いますので、それが132㎡以下かどうかが判断基準となります。

区分所有マンションの場合

マンションのように2以上の世帯が入居しているような建物は注意が必要です。

所得税法基本通達36-41では、「2以上の世帯を収容する構造の家屋については、1世帯として使用する部分の床面積」で99㎡以下かどうかを判定する旨の記載があります。

これは、専有部分(自身の部屋)だけではなく、共用部分(廊下やエレベーターホールなど)も含めた面積で判定をする、という意味になります。

特にタワーマンションなど共用部分の面積が大きい場合、専有部分が75㎡程度だったとしても、共用部分を加えると99㎡超となることもありますので、注意が必要です。

ではこの面積はどのように確認するのでしょうか。専有面積は賃貸借契約書や登記簿謄本などで簡単に確認が出来そうですね。一方で共用部分を含んだ面積はすぐに確認することが出来ません。

ここでは「共用部分を含んだ面積」の確認方法について解説します。

その確認方法とは、区分所有マンションの場合、その部屋の「固定資産税評価証明書」または「固定資産税課税明細書」で確認することが出来ます。これらの書類には登記床面積現況床面積が書かれています。

このうち「現況床面積」が、この部屋に対応する共用部分の面積を含んだ面積となります。具体的に、東京都の固定資産税課税明細書を確認してみましょう。

この明細のうち「現況床面積」の部分を確認してください。この明細は木造一戸建てのため登記床面積と現況床面積が一致していますが、区分所有マンションの場合にはここが異なっています。

専有面積が99㎡以下だから…と確認しないでいると、実は共有部分も含んだ面積では99㎡超ということはざらにありますから、必ず確認するようにしてください。

なお、固定資産税評価証明書の取得方法は、この記事の最後に記載していますので、そちらも参考にしてください。

ちなみに、登記床面積と現況床面積が違うという点については、東京都が出している以下のQ&Aに記載があります。

分譲マンションを所有していますが、課税明細書の登記床面積と現況床面積が異なっているのはなぜですか。

分譲マンションなどの区分所有家屋は、専有部分と一棟の延床面積から専有部分を除いた共用部分(エントランスホールや内部廊下等)から成り立ちます。
課税明細書の登記床面積とは、専有部分の面積であるのに対し、現況床面積は専有部分の面積に、共用部分の面積を各区分所有者にあん分した面積を加えたものであり、登記床面積と現況床面積に差が生じるためです。

東京都HPより

一棟マンションの1室の場合

区分所有ではなく1棟所有のマンションの場合、上記のような部屋ごとの明細がありませんので、別の方法で把握する必要があります。

いくつか方法が考えられるかもしれませんが、私はいつも下記の方法で行っています。

まず、共用部分の面積合計(A)専有部分の面積合計(B)を、賃貸人又は管理会社に確認します。

借りている部屋の専有面積(C)は、賃貸借契約書で確認してください。

これらをもとに共有部分を含んだ面積は以下の算式で計算することが可能です。

共用部分を含んだ面積 = C + A ×(C ÷ B)

ただ、共用部分の面積合計や専有部分の面積合計については、賃借人側だけで確認することが出来ないため、賃貸人か管理会社に協力してもらうしか方法がありません。

賃貸人側が、共用部分の面積合計が分からない、ということもゼロではないのですが、少なくとも貸付面積の合計(専有部分の面積合計)は把握しているはずですので、謄本で建物全体面積を確認して、そこから専有部分の面積合計を引いた面積を共用部分の面積合計として計算することも可能かと思われます。

評価証明書の取得方法

区分所有マンションの場合には、固定資産税評価証明書が必要だということをお伝えしました。最後に、この固定資産税評価証明書の取得方法について解説したいと思います。

通常は他人が所有しているものですので所有者や相続人などしか取得できないと思いがちですが、実は賃借人単体でも取得することが可能です。申請するために必要な書類は下記のものです。

【必要書類】※東京都の場合

  • 申請書
  • 本人確認書類(運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど)
  • 賃貸借契約書
  • 賃料を払い込んだ領収書等(相手方の名前の記載がある振込明細や通帳でも可)

!転貸物件の場合!

賃貸人が所有者ではない場合(所有者→賃貸人→賃借人など)は、賃貸人と賃借人の契約書のほか、所有者と賃貸人の契約書も必要となります。通常、所有者と賃貸人との契約書の提供を受けることは困難ですので、その場合には賃貸人か管理会社に取得してもらえないか、連絡をしてみましょう。

上記を持って、物件所在地を管轄する役所(東京都:都税事務所、その他:市区町村役場)で手続きを行います。

なお、手続き方法や必要書類は物件所在地の役所によって異なる可能性もありますので、事前にホームページなどで確認していただければと思います。

【参考】東京都主税局HP(https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/scene/index01.html#h3

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