一括償却資産を除却した場合、除却損を計上することはできますか?
一括償却資産の除却
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前期に一括償却資産として申告した資産を今期除却したのですが、一括償却資産を除却することはできますか?
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一括償却資産については、除却しても除却損を計上することはできません。
一括償却資産を選定した場合には、各資産の状況にかかわらず、一括償却資産の合計額を3年間で償却することとなりますので、仮に除却しても損失計上することはできません。
これについては、法人税法基本通達7-1-13において触れられています。
法人税法基本通達7-1-13(一括償却資産につき滅失等があった場合の取扱い)
法人が令第133条の2第1項《一括償却資産の損金算入》に規定する一括償却資産につき同項の規定の適用を受けている場合には、その一括償却資産を事業の用に供した事業年度後の各事業年度においてその全部又は一部につき滅失、除却等の事実が生じたときであっても、当該各事業年度においてその一括償却資産につき損金の額に算入される金額は、同項の規定に従い計算される損金算入限度額に達するまでの金額となることに留意する。
令和4年度税制改正(貸付用資産を除外)
令和4年度税制改正により、一括償却資産の対象資産から貸付の用に供したものを除くこととされました。
一括償却資産は事業供用した月にかかわらず、取得価額の1/3を損金の額に計上することができます。そのため、期末に1つあたりの金額が20万円未満の資産を期末に大量に購入して賃貸に出すことで、課税の繰り延べを図るというスキームが用いられていました。
今回の改正により、貸付の用に供された場合には一括償却資産とすることができず、通常の減価償却と月数按分を行うこととなりますので、上記スキームを封じられた形となります。
なお、減価償却の月数按分についてはコチラの記事も、ぜひ一度確認してみてください!
参考条文
法人税法施行令第百三十三条の二(一括償却資産の損金算入)
内国法人が各事業年度において減価償却資産で取得価額が二十万円未満であるものを事業の用に供した場合において、その内国法人が当該対象資産(貸付け(主要な事業として行われるものを除く。)の用に供したものを除く。)の全部又は特定の一部を一括したもの(この条において「一括償却資産」という。)の取得価額の合計額を当該事業年度以後の各事業年度の費用の額又は損失の額とする方法を選定したときは、当該一括償却資産につき当該事業年度以後の各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入する金額は、その内国法人が当該一括償却資産の全部又は一部につき損金経理をした金額(以下この条において「損金経理額」という。)のうち、当該一括償却資産に係る一括償却対象額を三十六で除しこれに当該事業年度の月数を乗じて計算した金額に達するまでの金額とする。
参考通達
法人税法基本通達7-1-13(一括償却資産につき滅失等があった場合の取扱い)
法人が令第133条の2第1項《一括償却資産の損金算入》に規定する一括償却資産につき同項の規定の適用を受けている場合には、その一括償却資産を事業の用に供した事業年度後の各事業年度においてその全部又は一部につき滅失、除却等の事実が生じたときであっても、当該各事業年度においてその一括償却資産につき損金の額に算入される金額は、同項の規定に従い計算される損金算入限度額に達するまでの金額となることに留意する。